業界研究「テレビ・新聞」/ネット広告がついにテレビ広告を超え、新聞の部数減少が続く

業界研究

テレビや新聞業界などのメディアでは、苦境が続いています。

ネット広告に押され、テレビ広告の落ち込みが続き、新聞の発行部数も減少が続いています。

今回は、そんなオールドメディア業界の現状や、主要会社について調べてみました。

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テレビ業界

まず、民放テレビ局の主な収入源である「広告費」から見てみましょう

テレビ業界の規模は?「広告費」から現状を知る

国内の総広告費は6兆9,381億円(8年連続で成長)
テレビ広告費は1兆8,612億円(3年連続減少)
インターネット広告費は約2.1兆円(6年連続で2桁成長)

テレビ業界を広告費で見てみると、まず、国内の総広告費6兆9,381億円(2019年、電通)となっており、8年連続で成長しています。

そのうちテレビメディア広告費は、1兆8,612億円で、3年連続の減少(前年比2.8%減)となっています(地上波テレビ+衛星メディア関連、2019年、電通調べ)。

現在の広告のけん引役はインターネット広告です。
ネット広告は6年連続で2桁成長を続けており、2019年には2.1兆円で、ついにテレビ広告がネット広告に追い越されました。

デジタルメディアの台頭により、テレビ業界などの既存メディアは厳しい状況です。

※「ネット広告業界」については、別で記事を書く予定です。

パソコンやスマートフォンの普及でアプリや動画配信サービスが増え、動画広告が急増しました。
動画配信サービスは、無料のYouTubeが若者を中心に普及していましたが、コロナ禍による巣ごもり期の影響もあり、有料サービスのAmazonプライムNetflixの二大外資を中心に伸びているのです。

そのため、企業は広告費をテレビからネットへ移行させているのです。

テレビ局の主な収入源は、民放はCMの広告費(NHKは受信料)ですが、テレビからネットへ広告が移行させている流れのため、テレビ業界の広告収入は減り続けているのです。

キー局を中心にテレビ広告費は大幅に減少しており、ネット広告への移行はもはや止められません

そのため、テレビ局各社は、ネット広告の取り込みに必死です。

しかし一方では、日本テレビの2020年度第3四半期決算報告書を見ると、視聴率は業績に反して好調です。

テレビ局の指標は視聴率であり、収益を左右するはずなのですが・・・
そうとも言えない状況になってきているようです。

テレビ局は「動画配信サービス」を強化している

TVerなどのAVOD(広告型動画配信サービス)や、ユーザー課金のSVOD(定額制動画配信サービス)に参入

テレビ局各社は、ネット広告の取り込みのために、スマホなどで番組を見られるよう、動画配信サービスに力を入れ始めました。

動画配信サービスは、各テレビ局それぞれが独自に提供はしていますが、2015年に在京民放5社で、広告付き無料動画配信サービスである「TVer(ティーバー)」の共同運営を開始しました。
※在京民放5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)

TVerは11のモバイルアプリとPCサイトで配信を実施し、約200番組がすべて無料で視聴できます。若年層への認知が拡大しています。
そして、TVerは2019年に、運用型広告としてインストリーム動画広告の買い付けが可能な「TVer PMP」をフリークアウトと共同で立ち上げています。

その他にも、テレビ局各社は、Hulu(フールー)やNetflix(ネットフリックス)、Amazonプライム・ビデオなどのユーザーが課金するSVOD(定額制動画配信サービス)にも積極的に乗り出し、民放キー局全社が参入している状況です。

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VODとは
ビデオ・オン・デマンドの略で、インターネット上で映画やドラマ、アニメなどの動画をいつでもどこでも視聴できる「動画配信サービス」のことです。
VODは大きく分けて下記の3種類があります。

AVOD(広告型動画配信サービス)とは
Advertising Video On Demand(アドバータイジングビデオオンデマンド)の略で、動画が始まる前や途中などに広告動画を差し込み、スポンサーからの広告収益で成り立っているサービスです。ユーザーは広告を見るというワンクッションの動作がある代わりに、すべての動画を無料で視聴できます。
YouTube、ニコニコ動画、TVer(ティーバー)などがこれにあたります。

SVOD(定額制動画配信サービス)とは
Subscription Video on Demand(サブスクリプションビデオオンデマンド)の略で、定額制動画配信のことです。ユーザーは月額や年額などで費用を支払えば、その期間中はそのサービス内で配信されている動画コンテンツを見放題で視聴することができるサービスです。
Hulu(フールー)、Netflix(ネットフリックス)、Amazonプライム・ビデオ、U-NEXT、dTVなどがこれにあたります。

PPV(都度課金制動画配信サービス)とは
Pay Per View(ペイパービュー)の略で、作品1本ごとに課金して視聴するVODサービスです。課金がその都度必要になる分、定額見放題のSVODに比べて最新作の配信が早い傾向にあります。
このPPVには、レンタル型のTVODと、買い切り型のESTの2種類があります。
TVODはレンタルショップの配信版で、対象作品に対してレンタル料金を支払えば、「再生後48時間以内」といったレンタル期間内に限っていつでも何度でも視聴できます。
ESTは、セルソフトの配信版のことで、対象作品を購入することで、その作品を無期限で視聴できるようになります。その分、TVODに比べて料金は割高です

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また、放送法改正でテレビとネットの同時配信が可能になったため、いち早くNHKがインターネットの同時配信に乗り出し、2020年4月に、スマートフォンやPCなどで視聴が可能なNHKプラス」を開始しました。

当初、民放局は、常時同時配信には運営費が膨大になるとして異論を唱えていましたが、2020年1月に複数の局が一斉に同時間帯に番組を配信する実証実験を行うなど、テレビ業界は視聴者の需要を取り囲もうと、ネット配信へ積極的に動き始めています。

ネット同時配信
2019年にNHKが「NHK+」でネット同時配信を開始。民放キー局にとっては、地方局の影響力が低下する可能性があるため、系列局との兼ね合いと増える費用が課題。ただし、ネット広告に押されテレビ広告が減少する中で、民放でもネット同時配信の実現可能性は高まっています。

放送外事業の拡大も目指している

上記のように、テレビ局各社は既存の放送事業を生かした取り組みを行っていますが、一方では、放送外の事業の拡大も目指しています。

豊富なキャッシュを背景に、不動産やホテル、フィットネスジム、インターネット、イベント、小売業なども手がけます。

慢性的に視聴率が低迷する中、こうした周辺事業の強化は欠かせないもので、今後の各社の業績を大きく左右する要因になり得ます。

ただし、2020年からの新型コロナウイルス流行による本業のテレビ広告収入の落ち込みはなお大きく、現在は業績の悪化を食い止めきれていない状況にあります。

日本テレビホールディングスの2019年度メディア・コンテンツ事業売上比率

地上波テレビ広告収入64%
コンテンツ販売(SVOD向け)18%
物販販売7%
BS・CS広告収入4%
その他4%
興行収入(イベント・映画等)3%
その他広告(広告型ネット配信など)0%

以前まで圧倒的な存在感を示していたテレビ広告が減退。
他の広告収入やコンテンツ販売の存在感が増しています。
とくに、日本テレビでは動画配信サービスの「Hulu」に勢いがあります。
もともと不動産やフィットネスジムなど事業多角化が進んでいましたが、メディア事業の中でも多角化が進んでいます。

テレビ業界の「売上高」

最初の章で、テレビ業界の広告費について触れましたが、次は「売上高」はどんな感じでしょうか

主要対象企業31社の売上高合計は2兆4,711億円

2020年3月期の主要対象企業31社売上高を合計すると、2兆4,711億円の規模となります。

各業界(150業界)における主要対象企業の売上高の合計を表した業界規模で見てみると、テレビ業界の売上高の規模は、79位となります。

テレビ業界の売上高トップ10(2020年3月期)

企業売上高(億円)
フジ・メディア・HD6,314
日本テレビHD4,265
TBSHD3,567
テレビ朝日HD2,936
テレビ東京HD1,451
スカパーJSATHD1,395
朝日放送グループHD829
WOWOW824
中部日本放送330
TOKAIホールディングス ※313
2020年3月期(2019年~2020年)

※HDはホールディングスの略。
※TOKAIホールディングスはCATV事業の売上高です。

やっぱり東京の5社が強いんだね。予想どおりだね

おすすめスポットの記事もありますので興味がある方はぜひどうぞ👇

放送業界の会社を個別に見てみよう

ここからは、個別にそれぞれの会社を見ていきます。
民放は視聴率順に見ていくよ

※民放テレビ局は2019年度関東地区、全日帯(6~24時)の視聴率による順位(各局の決算資料より)

放送局(在京民放5社)

まず、売上高トップ5の主要放送局(在京民放5社)については、新聞業界との資本面でのつながりもあわせて見てみましょう。

視聴率民放1位

日本テレビホールディングス

日本テレビ放送網株式会社(略称は日本テレビ日テレ)は、日本テレビホールディングスの連結子会社です。
日本テレビは視聴率トップ売上高2位ですが、利益は低下傾向です。
動画配信「Hulu」も傘下(2014年Huluの日本事業を買収)。
フィットネスなどの多角化を進めています。

売上高4,265億円
営業利益431億円

NNN(30局)

  • 読売テレビ
  • 中京テレビ
  • 札幌テレビ など

NNNとは
日本テレビをキー局とする、民放テレビ局のニュースネットワークで、「日本ニュースネットワーク」の略称です。

新聞社との資本関係

読売新聞グループ本社と共同保有者による、日本テレビホールディングスの株式保有比率は、約24%です。
日本テレビホールディングスは、読売新聞グループ本社を筆頭株主とした、読売グループの一員です。

日本テレビは読売新聞グループの影響を受けやすいということかぁ

視聴率民放2位

テレビ朝日ホールディングス

株式会社テレビ朝日(略称はテレ朝)は、テレビ朝日ホールディングスの連結子会社で、
2016年にAbemaTVをサイバーエージェントと共同出資。
テレビ朝日は、ひかくてき高齢者層に強く、視聴率は日テレに次ぐ2位です。
不動産などの放送外事業は、他社と比べて少ない傾向です。

売上高2,936億円
営業利益125億円

ANN(26局)

  • 朝日放送グループHD
  • 名古屋テレビ放送
  • 九州朝日放送 など

ANNとは
テレビ朝日をキー局とする民放テレビ放送のニュースネットワークで、「オールニッポン・ニュースネットワーク」の略称です。

新聞社との資本関係

朝日新聞社によるテレビ朝日ホールディングスの株式保有比率は、約24%で筆頭株主です。
反対に、テレビ朝日ホールディングスによる朝日新聞社の株式保有比率は、約11%です。

テレ朝は朝日新聞とつながっていることは、同じ「朝日」がつくから想像どおりだったよ

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視聴率民放3位

TBSホールディングス

株式会社TBSテレビ(略称はTBSはTBSホールディングスの連結子会社です。
(どちらも企業の連合体である三井グループに所属しています。)
2017年にParavi(パラビ)を6社で共同出資。
日曜劇場など硬派ドラマに加え若者向けも強化。
赤坂の不動産が安定的に寄与。

売上高3,567億円
営業利益131億円

JNN(28局)

  • 毎日放送
  • 中部日本放送
  • RKB毎日HD など

JNNとは
TBSテレビをキー局とする民放テレビのニュースネットワークで、「ジャパン・ニュース・ネットワーク」の略称です。

新聞社との資本関係

毎日新聞グループホールディングスによるTBSホールディングスの株式保有比率は、約0.8%です。
反対に、TBSホールディングスによる毎日新聞グループホールディングスの株式保有比率は、約1.9%です。

視聴率民放4位

フジ・メディア・ホールディングス

株式会社フジテレビジョン(略称はフジテレビフジ)はフジ・メディア・ホールディングスの連結子会社で、2015年にNetflixと制作合意しています。
不動産開発など多角化に積極的です。
ただ中核のフジテレビは視聴率が低迷で苦戦中です。

売上高6,314億円
営業利益263億円

FNS(28局)

  • 関西テレビ放送
  • 東海テレビ放送
  • テレビ西日本 など

FNSとは
フジネットワークの略称です。
キー局のフジテレビジョンなどFNN(フジニュースネットワーク)に加盟しているテレビ局の放送番組の内、ニュース番組以外のものを融通する、民放テレビ放送のネットワーク組織及び番組供給ネットワークである。

FNNとは
フジテレビをキー局とする、民放テレビ局のニュースネットワークで、「フジニュースネットワーク」の略称です。

新聞社との資本関係

フジ・メディア・ホールディングスによる産業経済新聞社の株式保有比率は、約45%です。

株式会社産業経済新聞社はフジ・メディア・ホールディングスの持分法適用会社です。
どちらもフジサンケイグループです。

※無料期間中に取得可能なポイントで、有料作品を楽しむことができます。

視聴率民放5位

テレビ東京ホールディングス

株式会社テレビ東京(略称はテレ東)は、テレビ東京ホールディングスの連結子会社です。
独自路線のバラエティー、ドラマに特徴。
近年は中国向けの配信、ゲームに勢いがある。

売上高1,451億円
営業利益51億円

TXN(6局)

  • テレビ愛知
  • テレビ大阪
  • テレビ北海道 など

TXNとは
テレビ東京をキー局としている民放テレビ局のネットワークで、「TXNネットワーク」の略称です。

新聞社との資本関係

日本経済新聞社によるテレビ東京ホールディングスの株式保有比率は、約32%です。

テレビ東京ホールディングスは日本経済新聞社の持分法適用会社です。テレ東は日本経済新聞の影響を受けやすいのかぁ。

まったくの余談ですが、下記は吉本興業ホールディングスの株式保有比率です。
一時期話題となったのでご存知の方が多いと思いますが、テレビ業界が大株主でかかわりが深いので情報として記載しておきます。
吉本興業ホールディングスは2010年に上場廃止しています。
[吉本興業の株式保有比率(15年5月末時点)]

  • フジ・メディアHD/12.13%
  • 日本テレビ放送網/8.09%
  • TBSテレビ/8.09%
  • テレビ朝日ホールディングス/8.09%
  • テレビ東京/4.04%

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その他

日本放送協会(NHK)

受信料収入を基に運営する公共放送事業体です。
ネット同時配信「NHKプラス」を開始しました。

経常事業収入(売上高)7,963億円
経常事業収支差金(営業利益)177億円
  • NHKエンタープライズ(制作子会社)
  • NHK出版(出版子会社)
  • NHKテクノロジーズ(送受信設備の保守や情報セキュリティー等)

日本BS放送(BS11)

ビックカメラグループのBS放送事業者。
アニメなどに強みがあります。
テレビ広告は通販の比率が高く、近年は苦戦中です。

売上高126億円
営業利益16億円
株式保有率

ビックカメラによる日本BS放送の株式保有比率は、約61%です。

有料放送を展開する事業者

WOWOW


映画や音楽ライブ、スポーツなどが中心の民間の衛星放送会社です。
テニス4大大会を独占放送しています。

売上高824億円
営業利益84億円
放送局・新聞社の株式保有比率
  • フジ・メディア・HD/21%
  • TBS HD/16%
  • 日本テレビ放送網/9%
  • 朝日新聞社/2%
  • テレビ朝日HD/1%
  • テレビ東京/1%

スカパーJSATホールディングス

CS放送「スカパー!」の有料多チャンネル事業と衛星事業を展開しています。

売上高1,395億円
営業利益152億円
株式保有比率
  • 伊藤忠・フジ・パートナーズ/25%
  • 日本テレビ放送網/7%
  • TBS HD/6%

👆スカパー!とは、ご自宅のテレビで楽しめるBS・CS放送の多チャンネルサービスです。
約300万件の契約数を誇る日本最大級のプラットフォームです。
スポーツ、音楽、映画、アニメなど、約70チャンネルのラインナップ。
ご自宅のテレビやレコーダーに既にチューナーが内蔵されているので、お申込み一つで簡単に始められます。

ジュピターテレコム

KDDIと住友商事が50%ずつ出資している、ケーブルテレビの最大手企業です。
ジャパンケーブルネットを2014年吸収合併しました。

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テレビ業界の動向

放送業界では、NHKの「NHKプラス」のリリースや、在京民放5社による「TVer(ティーバー)」でのネット同時配信の試行が注目すべき動きだったと思います。

今後も地上波で放送されている映像コンテンツを、インターネットで同時に見ることができる時代へと本格化する兆しでしょう。

動画配信サービスの普及で、テレビがあまり若者に見られなくなったのは、テレビ業界にとって最大の痛手でした。

いくら視聴率が高くても、高齢者ばかりだとなると、多くの企業にとってはCMを打つ意味がなくなるからです。

結果、企業はネット広告への移行を進め、テレビ業界の収入源である広告収入が減少しました。
視聴率が上がっても収益が増えないはずです・・・

今の若い世代は家にテレビがないケースが増えており、映像コンテンツはパソコンやスマホ経由なんです。

コロナ禍による巣ごもり期の影響もこの流れを加速させましたが、「時間に縛られる」といったテレビの放送形態が人々の生活に合わなくなっているという一面もあります。

しかし、これらの対応として、民放公式の無料配信サービス「TVer」を既に開始していますし、同時配信も動き始めています。

在京民放5社やNHKの動きは、テレビから離れた視聴者を取り戻すことにつながるかもしれません。

そして、キー局から収益が分配される形で成り立ってきたローカル局も、放送エリアを越えたネットサービスや、地域のステーション化など、活躍できる場はまだまだあります。

ネットへの舵切りを本格的に始めたテレビ業界の今後に注目です。

[関連記事] テレワークについての記事です👇

新聞業界

新聞業界の「発行部数」から現状を知る

新聞の発行部数3509万部

新聞は、発行部数の減少スピードが一段と増している状況です。

新聞配達網の維持が課題になってきており、編集部門も含めリストラを断行する会社もでてきました。

2020年の発行部数は3,509万部で、前年から271万部減少しました。
2018年から3年連続で200万部超えの減少です。

発行部数は2008年頃から減少幅が大きくなり、2018年にはついに4,000万部を割り込みました。

今後も新聞の発行部数の減少は加速するとみられ、購読料から得られる収入源はさらに減る見通しです。

新聞の発行部数(2000年~2020年)

合計一般紙スポーツ紙
202035,091,94432,454,7962,637,148
201937,811,24834,877,9642,933,284
201839,901,57636,823,0213,078,555
201742,128,18938,763,6413,364,548
201643,276,14739,821,1063,455,041
201544,246,68840,691,8693,554,819
201445,362,67241,687,1253,675,547
201346,999,46843,126,3523,873,116
201247,777,91343,723,1614,054,752
201148,345,30444,091,3354,253,969
201049,321,84044,906,7204,415,120
200950,352,83145,659,8854,692,946
200851,491,40946,563,6814,927,728
200752,028,67146,963,1365,065,535
200652,310,47847,056,5275,253,951
200552,568,03247,189,8325,378,200
200453,021,56447,469,9875,551,577
200352,874,95947,282,6455,592,314
200253,198,44447,390,0275,808,417
200153,680,75347,559,0526,121,701
200053,708,83147,401,6696,307,162
出所:日本新聞協会

各年10月時点
朝夕刊セットを1部として計算

新聞も紙媒体からスマホやPCに移行する中、頼みのデジタル版も、成功したといえるのは日本経済新聞だけです。

日本経済新聞の電子版の有料会員数は76万人で、無料会員も合わせると約493万人と増加しており、好調を維持しています。
とくに20代の伸びが顕著で、女性の利用も伸びています。

ただ、そんな日本経済新聞社でも紙の新聞発行部数の落ち込みを補うほどには至っておらず、苦しい立場であることに変わりはありません。

一般紙では朝日新聞が会員数314万人と日経新聞を追いかけている状況です。

大手新聞社が苦戦する一方で、一部の地方紙は地域に根差したローカルニュースで需要の堅調さをみせていたのですが、徐々に減少しているようです。

山梨を中心に発行する山梨日日新聞、鳥取県を中心に展開する日本海新聞など、部数を維持していましたが、4~6%落ち込み、群馬県の上毛新聞は2019年に30万部を割り込みました。

新聞業界の「広告費」は?

2019年の新聞広告費は4,547億円

2019年の新聞広告費は4,547億円で、7年連続で減少しています。

2006年から減少傾向となり、今では2005年当時の広告費1兆377億円の半分以下となっています。

新聞の発行部数減少に伴い、購読料と同様に、広告から得られる収入源もさらに減る見通しです。

新聞広告費と広告量の推移

新聞広告費
(億円)
新聞総広告量
(段)
20194,5474,702,027
20184,7844,866,917
20175,1475,047,941
20165,4315,134,839
20155,6795,228,995
20146,0575,345,303
20136,1705,336,059
20126,2425,282,957
20115,9905,010,809
20106,3965,167,450
20096,7395,183,247
20088,2765,630,065
20079,4625,940,897
20069,9866,080,737
200510,3776,111,902
出所:日本新聞協会

今後も紙媒体からの収益が見込めないため、やはり、デジタル版での収益確保が重要になりそうです。

新聞業界の売上高

新聞業界の発行部数や広告費の動きについてみてきましたが、売上高はどんな感じでしょうか

主要対象企業6社の売上高合計は1兆4,836億円

2020年3月期の主要対象企業6社の売上高を合計すると1兆4,836億円の規模となります。

各業界(150業界)における主要対象企業の売上高の合計を表した業界規模で見てみると、新聞業界の売上高の規模は、93位となります。

新聞業界の売上高トップ6(2020年3月期)

企業売上高(億円)
読売グループ本社5,818
日本経済新聞社3,568
朝日新聞社3,536
産業経済新聞社1,055
神戸新聞社443
西日本新聞社416
2020年3月期(2019年~2020年)

新聞業界の会社を個別に見てみよう

今回の記事は、苦境のオールドメディア「テレビ業界」と「新聞業界」なので、テレビ業界とのつながりにも注視してみましょう。
ここでは新聞発行部数トップ5を見ていきますが、全てが、テレビ業界売上・視聴率トップ5の在京民放5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)とそれぞれ関係があります。

発行部数1位

読売新聞グループ本社

読売新聞、スポーツ報知など

発行部数は世界1で、ギネスブックにも認定されています。
チームでの取材力が強みです。

発行部数794万部
売上高5,818億円
営業利益
放送局との資本関係

読売新聞グループ本社(共同保有者含む)は、日本テレビホールディングス(日本テレビなどの株を約24%保有しています
日本テレビホールディングスは、読売新聞グループ本社を筆頭株主とした、読売グループの一員です。

発行部数2位

朝日新聞社

朝日新聞、日刊スポーツなど

「朝日新聞デジタル」は国内最大級のニュースサイトです。
他社メディアに舞台を移して活躍する記者も多いです。

発行部数537万部
売上高3,536億円
営業利益23億円
放送局との資本関係

朝日新聞社は、テレビ朝日ホールディングス(テレビ朝日など)の株を約24%保有で筆頭株主です。
反対に、テレビ朝日ホールディングスによる朝日新聞社の株式保有比率は、約11%です。

発行部数3位

毎日新聞グループホールディングス

毎日新聞、スポーツニッポンなど

早期から記事の署名化を進め、記者それぞれの独自色が強い傾向があります。

発行部数232万部
売上高
営業利益
放送局との資本関係

毎日新聞グループホールディングスは、TBSホールディングス(TBSテレビなど)の株を約0.8%保有しています。
反対に、TBSホールディングスによる毎日新聞グループホールディングスの株式保有比率は、約1.9%です。

発行部数4位

日本経済新聞社

日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタスなど

経済報道では質・量ともに圧倒的な存在です。
デジタル化も他社に先駆けて成功しています。

発行部数227万部
売上高3,568億円
営業利益142億円
放送局との資本関係

日本経済新聞社は、テレビ東京ホールディングスの株を約32%保有しています。

発行部数5位

産業経済新聞社

産経新聞、サンケイスポーツ、夕刊フジなど

業績不振にあえぎ、人員削減や取材拠点の減少があります。
東京版は朝刊のみ。比較的自由な社風があります。

発行部数135万部
売上高1,055億円
営業利益47億円
放送局との資本関係

フジ・メディア・ホールディングスが産業経済新聞社の株を約45%保有しています。

新聞業界の動向

購読料広告から得られる収入源がさらに減る見通しのため、新聞業界にとってはデジタル版の利用者を拡大することが急務となります。

大手新聞社の中でもデジタル化、有料化に成功したのが日本経済新聞社です。
他社に先駆けて有料版の『日経電子版』を展開し、スマホやPCでいつでも見られる環境をいち早く構築しました。


また、今後の注目は読売新聞です。
2020年7月にスマートフォン用アプリ「読売新聞オンライン」を公開しました。

少し面白い点は、先行してアプリ展開をしている日本経済新聞や朝日新聞とは違い、自宅などで紙を定期購読していないと、読売アプリでデジタルコンテンツの全文が読めない点です。

読売新聞の紙の購読者は推定約700~800万人です。
紙を取っている人がアプリをダウンロードしていけば、それだけで一定のアプリのインストール数が取れます。

自社アプリのダウンロード数は、先行する日経が約70万、朝日が約30万といわれています。
仮に読売新聞アプリのダウンロード数が、定期購読者の1割にとどまったとしても約70~80万です。
しかも、アプリでの課金はありませんから、ダウンロードを誘う環境は悪くありません。

ネット単体で収益を上げるのではなく、アプリはあくまで紙の販売戦略の一つということでしょう。


最近の世状としては、デバイスが多様化しているので、ネットに転がる、信憑性が不確かな記事に、読者が疑問を抱き始めている状況があると思います。

今、日本だけではなく世界的に、信頼できる高品質な情報に対して、お金をかけるムーブメントは来ていると思います。

伸び率は急激ではないものの、日本経済新聞や朝日新聞の有料会員数が増加を続けているのも、この流れの中にあると思います。

NetflixやSpotify、電子コミックなどにお金を払っている人もかなりいますので、そもそもコンテンツにお金を払うという習慣はでき始めています。

コロナの関係もあり、2020年はニュースの需要も高まりました。
生活様式が大きく変化したことで、人とニュースが接触する状況も一段と多様化していますが、ニュースへの期待は今後も変わりません。

ニュースメディアの役割と期待はさほど変わりませんが、メディア運営をするに当たり、ビジネスモデルを変えていくということが課題なのです。

定期購読や課金ビジネスは、コンテンツを読者に気に入ってもらわないと成立しません。
やはり、「読者ニーズに応えたニュース」なのかどうか、それを意識して日々活動するニュースメディアが今後生き残るのではないでしょうか。

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