業界研究「鉄道業界②」経営状況(決算)や動向/JRと私鉄大手

業界研究

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、移動需要の減少が鉄道業界を直撃しています。

鉄道各社は運輸収入の減少に対応するべく、固定費の圧縮などコスト削減を徹底してきました。
しかしそれだけでは落ち込みをカバーすることができない状況です。

コロナ禍がついに3年目に突入し、2022年3月のダイヤ改正では、各社、今後も利用者数が従来のレベルまで回復しないことを念頭に置いたコスト削減策として、本格的な列車本数の削減に踏み切ります。
そしてついに、値上げの動きもでてきました。

今年は日本における鉄道開業150周年の節目ですが、コロナ後を見据え、鉄道業界は新たな姿を模索しています。

この記事では、前回の記事と同様にJRと私鉄ごとに情報をまとめています。
また、詳細を知りたい方のために、各社の決算資料や情報元のリンクも貼っておりますのでそちらも興味があればご利用ください。

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鉄道業界

[業界規模]
鉄道の業界規模を売上高で見てみると、主要企業48社の2020年度売上高の合計は10兆7,535億円となっています。
前年までに比べ、大きく減少しています。

それでは、鉄道業界全体の状況を把握するために、鉄道利用客数の動きから見てみましょう。

旅客数

JR・私鉄ともに利用客は大幅に減少

[旅客数量推移]

年度JR(千人)私鉄(千人)合計(千人)
20139,146,99114,459,41923,606,410
20149,088,12114,511,73023,599,851
20159,308,37514,981,51924,289,894
20169,392,17715,206,18524,598,362
20179,488,03015,484,57824,972,608
20189,555,91515,713,57925,269,494
20199,503,18115,686,55225,189,733
20206,706,60310,963,05617,669,659
国土交通省:鉄道輸送統計調査2020年度データ(鉄・軌道旅客輸送総括表)

上の表は旅客数量の推移を示したものです。
2020年度のJRの旅客数は前年比約29.5%減の67億人私鉄の旅客数は前年比約30.1%減少の109.6億人で、全体では前年比約29.9%減の176億7,000万人となっています。

2019年度まで緩やかな増加傾向にありましたが、2020年度大幅な減少となりました。
堅調に推移してきた鉄道業界でしたが、新型コロナウイルスの影響をまともに受けたことがわかります。

鉄道利用は、2021年度末(22年3月期)には2019年度比80~85%程度まで戻るのではないかとの見方も多いですが、それでもコロナ禍前と同水準に戻ることは厳しそうです。

今回使用したデータはこちら👇

e-Stat👈(日本の統計が閲覧できる政府統計ポータルサイト)

国土交通省

前回の鉄道業界研究の記事はこちらからどうぞ👇


それでは、前回の記事と同様に、まずJRの状況から順に見ていきましょう。

JR

JRの状況

とくに観光や出張などの長距離旅客需要の減少で苦戦しています。

2021年度からはコロナのワクチン接種が進み、徐々にですが観光や出張の需要は上向いていくと思われます。
しかし、これまでの観光需要を支えていた訪日外国人客が見込めないので、完全回復の期待は正直薄く、今後どれだけ訪日客が戻るかがカギとなりそうです。
また、通勤需要は2~3割減で持ちこたえてはいますが、在宅勤務やテレワークの普及により出張が引き続き減少するので、やはり元の水準に戻るのはもう少し時間がかかりそうです。

こうした旅客需要の落ち込みに対し、JR各社は収益拡大にさまざまな手を打っています。

例えばJR東日本やJR九州などについては、新幹線による荷物輸送を始めました。
ただし、旅客減少分を埋められるかと言えば厳しい状況で、むしろ非鉄道事業の特に不動産事業に期待がかかっています。これまでの投資集中型だけではなく、賃貸物件投資よりは難しいですが既存物件を売却してその資金で新たな不動産を開発する回転ビジネスにも注目しているようです。
しかし、コロナ禍が長引き2021年度も赤字が続くようであれば、新ビジネスどころではありません。

運賃の値上げで対処する動きもありますが、リストラなどの経営改善策を迫られる可能性もあり、
JR各社は正念場が続いています。

次に、JR各社の売上高など具体的な数値を見ていきましょう。

決算[2021年3月期] JR7社(JR旅客6社+JR貨物1社)

今回は、2021年3月期決算データを元に一覧表にし、前年の2019年度と比べています。
より詳細な情報を知りたいという方は、表内から各社の決算資料に飛べますのでそちらをご覧ください。

JR7社運輸収入の合計は2兆1,403億円
前年度に比べ2兆2,927億円減少しました。

[JR本州3社(JRのビッグ3)]決算情報
(※ ▲マークはマイナスの意味)
(※表中の数字①~⑦は各項におけるJR7社内での順位)

東日本旅客鉄道
(JR東日本)
対前年
(JR東日本)
西日本旅客鉄道
(JR西日本)
対前年
(JR西日本)
東海旅客鉄道
(JR東海)
対前年
(JR東海)
売上高
1兆7,645億円
▲1兆1,812億円
8,981億円
6,101億円
8,235億円
▲1兆0,211億円
営業利益▲5,203億円▲9,011億円▲2,455億円4,061億円▲1,847億円▲8,408億円
自己資本比率28.4%▲8.5%24.5%9.6%37.9%▲2%
車両数1万2,770両▲76両6,503両+62両4,857両+29両
駅数1,676駅+19駅1,174駅同じ405駅同じ
営業キロ7,401㎞同じ4,903㎞同じ1,970㎞同じ
社員数
4万9,780人
▲2万2,032人
4万7,984人
+339人
3万0,153人
+550人
売上高の内訳運輸:10,957
流通・サービス:3,180
不動産・ホテル:2,712
その他:795
運輸:▲8,988
流通・サービス:▲1,840
不動産・ホテル:▲773
その他:▲220
運輸:4,768
流通:1,422
不動産:1,457
その他:1,333
運輸:▲4,566
流通:▲838
不動産:▲194
その他:▲503
運輸:5,233
流通:1,616
不動産:388
その他:996
運輸:▲8,957
流通:▲885
不動産:▲86
その他:▲284
2021年3月期決算短信
〔日本基準〕(連結)
決算短信決算短信決算短信
決算短信補足資料補足資料補足資料補足資料
HP(決算関係ページ)ホームページホームページホームページ
2020年度各社資料より

■特徴
[JR東日本]
売上高1兆7,645億円は鉄道業界トップ。
山手線をはじめ都心中心に収入源となる黒字路線を多数抱え、不動産や小売りも大きな存在感があります。
[JR西日本]
山陽と北陸新幹線が鉄道事業収益の柱。
不動産まど経営の多角化に積極的です。
[JR東海]
東海道新幹線(東京~大阪)が収益の柱。
今後のリニア中央新幹線の開業に期待がかかります。

🔷注目事業
[JR東海]リニア中央新幹線
東京(品川)~名古屋・・・2027年から延期
名古屋~大阪・・・2045年開業予定
[JR西日本]北陸新幹線
金沢~敦賀・・・2023年度末開業予定
敦賀~新大阪・・・2030~46年ごろ開業予定

🔷新幹線収入が大幅に減少
JR東海、JR東日本、JR西日本など大手の鉄道収入の柱である新幹線収入が、各社コロナ禍の影響で、2019年度と比べ2020年度は65%落ちました。
その結果、新幹線が経営の大黒柱であるJR東海については、2020年度の売上高はなんと前年比55%まで落ち込みました。
その他、旅行需要の減少により定期外客の収入も半減しています。

[JR3島会社]決算情報
(※ ▲マークはマイナスの意味)
(※ 表中の数字①~⑦は各項におけるJR7社内での順位)

九州旅客鉄道
(JR九州)
対前年
(JR九州)
北海道旅客鉄道
(JR北海道)
対前年
(JR北海道)
四国旅客鉄道
(JR四国)
対前年
(JR四国)
売上高
2,939億円
▲1,387億円
1,119億円
▲553億円
277億円
▲212億円
営業利益▲228億円▲722億円▲805億円▲379億円▲259億円▲139億円
自己資本比率43.8%▲6.1%61.5%▲2.8%55.5%▲1.6%
車両数1,671両+6両978両▲13両434両同じ
駅数568駅同じ348駅▲42駅259駅▲1駅
営業キロ2,273㎞同じ2,372㎞▲116㎞853㎞▲2㎞
社員数
8,017人
▲9,433人
6,317人
▲112人
2,149人
同じ
売上高の内訳運輸:886
建設:423
駅ビル・不動産:766
流通・外食:513
その他:349
運輸:▲776
建設:+48
駅ビル・不動産:▲98
流通・外食:▲530
その他:▲30
運輸:530
小売業:277
不動産賃貸:221
ホテル:35
その他:
54
運輸:▲367
小売業:▲65
不動産賃貸:▲41
ホテル:▲46
その他:
34
運輸:156
・販売:50
建設:98
ホテル:29
不動産:16
その他:58
運輸:▲141
物品・販売:▲30
建設:▲24
ホテル:▲35
不動産:▲1
その他:
18
2021年3月期決算短信
または決算資料
決算短信決算資料決算資料
説明資料説明資料
HP(決算関係ページ)ホームページホームページホームページ
2020年度各社資料より

■特徴
[JR九州]
2016年度に上場し、運輸以外の事業の多角化が他より先行しています。
「ななつ星」などの観光列車が人気です。
[JR北海道]
経営改革途上ですが、2030年度には北海道新幹線の札幌延伸に期待。
[JR四国]
四国最大の公共交通で、高速道路に対抗して都市間輸送を強化しています。

🔷注目事業
[JR北海道]北海道新幹線
新函館北斗~札幌間・・・2030年度開業予定
[JR九州]九州新幹線
武雄温泉~長崎・・・2022年秋に開業予定
これに伴い、長崎駅が新幹線駅としてデビューし、商業・ホテル・オフィスなどが入居する新しい駅ビルも建設中です。(2023年秋全面開業予定)

🔷職員数の減少
JRの社員数は年々減少しています。
ただ単に、民営化の効果か業務効率化が進んだからなのでしょうか。
国鉄時代に46万人いた職員数も今や11.1万人です。
2020年度を見ると、JR東日本が2万2,032人減少で最も多く減少し、続いてJR九州が9,433人減少、JR北海道が112人の減少です。
ちなみに、私鉄の職員数はやや増加している状況です。

[貨物]決算情報
(※ ▲マークはマイナスの意味)
(※表中の数字①~⑦は各項におけるJR7社内での順位)

日本貨物鉄道(JR貨物)対前年
売上高
1,873億円
▲116億円
営業利益25億円▲75億円
自己資本比率23.6%+0.5%
車両数9,908両+224両
駅数241駅同じ
営業キロ7,954㎞▲5㎞
社員数
5,472人
+70人
2021年3月期決算短信決算短信
決算短信補足資料説明資料
HP(決算関係ページ)ホームページ
2020年度日本貨物鉄道資料より

■特徴
[JR貨物]
北海道から九州まで全国に貨物を運んでいます。16年度に鉄道黒字化を達成しました。

JRの動向


🔷ダイヤ改正で大規模減便
大きく変化した利用実態を踏まえ、2022年3月のダイヤ改正でコスト削減に向けた本格的な列車本数の削減に踏み切ります(私鉄各社も同じく)。

JR東日本は在来線と新幹線を合わせ、平日1日当たりの運転本数を計239本削減し、朝通勤時間帯の山手線など都心部の路線も本数を減らすほか、相模線や八高線など首都圏近郊の路線でワンマン運転を導入します。
JR西日本についても平日の在来線運転本数を全体で206本削減します。


🔷運賃改定
JR東日本は各新幹線や一部特急列車(山形・秋田新幹線の特急料金改定など)、グリーン車など特別車両の料金を引き上げます。
また、JR東日本JR北海道西日本は山陽新幹線を除く新幹線の指定席料金に通常期より400円高い「最繁忙期」を新たに設定し、混雑するシーズンは実質的に値上げとなります。
JR九州は、4月1日乗車分より在来線の特急料金を変更します。
従来は自由席25㎞以内が310円、26㎞以上50㎞以内が630円などとなっていたところを、25㎞以内500円、26㎞以上50㎞以内が750円などとします。
また、指定席利用時の自由席からの加算額についても、従来の530円から730円に変更。
特急「あそぼーい!」の展望席などについては、従来の740円から940円へと値上げとなります。

余談ですが、そもそも同じJRでも運賃体系は異なっています。

本州3社(円)JR四国(円)JR九州(円)JR北海道(円)
1~3150170170200
11~15240260280340
21~25420460480540
31~35590670660750
41~45770870860970
51~609901,1101,1301,290
61~701,1701,3001,3101,490
71~801,3401,4701,5001,680
81~901,5201,6601,6801,890
91~1001,6901,8301,8502,100

JR本州3社の普通運賃体系に比べると、経営基盤の弱いJR3島会社の運賃は割高に設定されています。

私鉄

私鉄の状況

コロナ禍による訪日客需要の消滅やテレワークの普及で、各社の業績は大ダメージを受けています。
大手私鉄15社の中で、阪急阪神ホールディングスと南海電気鉄道の2社だけがかろうじて営業黒字を確保しましたが、他は全て赤字転落しました(最終損益は15社全て赤字)。
(※ここでは阪急電鉄と阪神電鉄を合わせた阪急ホールディングスで1社と数えています)

従来から多角経営を進めてきた大手私鉄各社は、JR各社と比べれば連結売上高に占める鉄道事業の割合は大幅に低いものの、利益面では鉄道事業が大きな柱となっています。

そもそも鉄道は運行・修繕費用や人件費などの固定費の比率が高く、乗客の減少による運輸収入の減少が利益減少に直結します。
2020年度の私鉄大手15社の輸送人員を見ると、2019年度比で30.2%減の73億2538万人で、今後もコロナ前と同じレベルには戻らないとみられ、大幅な構造改革が必須となっています。
輸送人員推移

そんな中各社は、列車本数の削減や駅の合理化など、固定費の削減を始めています。
例えば近鉄は21年度、鉄道の営業費用を2019年度比で150億円程度削減するようです。

その他、稼働率低迷で重荷となっているホテル事業も立て直しが急務です。
阪急阪神ホールディングスは2025年までに6ヵ所を営業終了予定です。近鉄グループホールディングスは8ヵ所を米ファンドに売却し運営受託に切り替えます。西武ホールディングスのプリンスホテルも建物など資産を売却・移管して運営に特化する方針を示しています。

決算[2021年3月期]私鉄15社(関東大手9社+関西大手4社+地方大手2社)

大手上場私鉄15社の連結売上高は5兆9,684億円

[関東大手9社]決算情報
(※ ▲マークはマイナスの意味)
(※表中の数字①~⑮は各項における私鉄15社内での順位)

東急東武鉄道小田急電鉄西武
ホールディングス
京王電鉄東京地下鉄
(東京メトロ)
京浜急行電鉄相鉄
ホールディングス
京成電鉄
売上高
9,359億円

4,963億円

3,859億円

3,370億円

3,154億円

2,957億円

2,349億円

2,211億円

2,077億円
対前年
(売上高)
▲2,283億円▲1,575億円▲1,482億円▲2,175億円▲1,182億円▲1,374億円▲778億円▲440億円▲670億円
営業利益▲316億円▲135億円▲241億円▲515億円▲208億円▲402億円▲184億円▲31億円▲180億円
対前年
(営業利益)
▲1,003億円▲761億円▲652億円▲1,083億円▲568億円▲1,241億円▲478億円▲295億円463億円
旅客営業距離104㎞463㎞120㎞176㎞84㎞195㎞87㎞38㎞152㎞
年間輸送人員
8億0,578万人

6億7,704万人

5億2,522万人

4億7,222万人

4億5,064万人

18億1,948万人

3億3,490万人

1億7,482万人

2億0,871万人
売上高に占める
鉄軌道事業の割合
12%23%21%22%18%85%23%12%18%
2021年3月期決算短信
〔日本基準〕(連結)
決算短信 決算短信決算短信決算短信決算短信決算短信決算短信決算短信決算短信
説明資料概況資料説明資料説明資料概況資料補足資料説明資料補足資料説明資料説明資料
HP(決算関係ページ)HPHPHPHPHPHPHPHPHP

2020年度の私鉄関東大手9社は、いずれも赤字転落しました。

[関西大手4社]決算情報 
阪急阪神ホールディングスは阪急電鉄と阪神電鉄を合わせた数値です
(※ ▲マークはマイナスの意味)
(※表中の数字①~⑮は各項における私鉄15社内での順位)

近鉄グループ
ホールディングス
阪急阪神
ホールディングス
京阪
ホールディングス
南海電気鉄道
売上高
6,972億円

5,689億円

2,534億円

1,908億円
対前年
(売上高)
▲4,970億円▲1,937億円▲637億円▲372億円
営業利益▲621億円20億円▲12億円55億円
対前年
(営業利益)
▲1,114億円▲931億円▲323億円▲297億円
旅客営業距離501㎞192㎞91㎞154
年間輸送人員
4億2,623万人

6億6,865万人

2億0,819万人

17,816万人
売上高に占める
鉄軌道事業の割合
14%18%15%21
2021年3月期決算短信
〔日本基準〕(連結)
決算短信決算短信決算短信決算短信
説明資料説明資料補足資料補足資料補足資料
HP(決算関係ページ)HPHPHPHP

大手の私鉄15社の中で、阪急阪神ホールディングスと南海電気鉄道の2社だけがかろうじて営業黒字を確保しました。ただし、最終損益は15社全て赤字です。

[地方大手社]決算情報
(※ ▲マークはマイナスの意味)
(※表中の数字①~⑮は各項における私鉄15社内での順位)

名古屋鉄道西日本鉄道
売上高
4,816億円

3,461億円
対前年
(売上高)
▲1,413億円▲433億円
営業利益163億円95億円
対前年
(営業利益)
▲636億円▲259億円
旅客営業距離444106
年間輸送人員
2億9,623万人

7,904万人
売上高に占める
鉄軌道事業の割合
13%4%
決算短信決算短信
説明資料説明資料
HPHP

大手私鉄に関する様々な詳細データを知りたいという方は「日本民営鉄道協会」さんのHPもぜひご覧ください。

日本民営鉄道協会さんの資料からの情報👇

[関東大手で定期利用客の減少が目立つ]
テレワークの普及などで大手私鉄の屋台骨である定期客、2019年度に比べ2020年度は最大で3割減少しています。
また、関東に比べて関西はもともと定期客よりも定期客が多くを占めているので、関西の定期客の減少率は低くなっています。

[都市部の鉄道は効率よく稼げる]
都市部の鉄道は1あたりの平均収入が高いことがわかります。
東急は路線延長が東武鉄道や近鉄より短く、鉄道営業収益は少ないですが、1あたりの平均収入ではローカル線を抱える2社を大きく上回っている状況です。

私鉄の動向

🔷ダイヤ改正で減便
大きく変化した利用実態を踏まえ、2022年3月のダイヤ改正でJRと同様に私鉄各社も本数の削減や列車運行区間、種別などの見直しを図ります。

東武鉄道西武鉄道朝夕ラッシュ時の列車本数を削減します。
小田急電鉄は特急ロマンスカーの運行本数を見直し、朝の通勤特急「モーニングウェイ」を増発する一方で、新宿―箱根湯本間を結ぶ「はこね」を大幅に減らします。
京王電鉄では、2001年3月のダイヤ改正時に導入した同社独特の種別「準特急」が、特急と統合されて消滅します。

🔷運賃改定
東急電鉄は2023年春の値上げ方針を示しており、改定率は12.9%で実質的な増収率は11.7%を見込んでいます。初乗り運賃は130円から140円へと10円の値上げとなる予定です。
その他、近鉄グループホールディングスも運賃の値上げ(ダイヤ変更も検討)を検討しています。
関西私鉄4社で値上げ検討を表明したのは近鉄が初めてです。
私鉄大手とは別ですが、静岡県の遠州鉄道は2月1日に、消費税増税に伴うケース以外では39年ぶりとなる値上げを実施し、初乗り運賃を120円から140円に引き上げました(遠州鉄道HP)。

一方で値下げの動きもあります。
小田急電鉄は3月から、ICカード使用時の小児運賃を全線均一50円に引き下げます。子連れで利用する際の負担を減らし、子育てに適した路線をアピールする狙いのようです。
北総鉄道は北総線で10月に平均約15%、通学定期については64.7%の運賃引き下げを実施します。
京成電鉄も同じく10月から成田空港線(成田スカイアクセス線)で運賃の引き下げを行います。

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